見沼たんぼコラム

見沼田園のお花畑

写真家 横田栄造さん
写真家 横田栄造さん
横田栄造写真集 見沼 田園のお花畑
横田栄造写真集 見沼 田園のお花畑Ⅰ~Ⅲ

病気をしたことがきっかけで、健康維持のために毎朝歩くようになり、家から20分くらいで見沼田圃に行けるため、見沼田圃を歩くようになった。
1年くらい続けたある日、田圃に生えている草花が気になったが、名前をほとんど知らないことに気が付いた。
高山植物の写真は、長い間撮り続けていたが、 見沼田圃には田園特有の花があった。
くやしかったため、近くの公民館で薬草講座があったので参加し、その時の先生に付いて教わるようになった。
その後、大宮山草同好会という会へ入って勉強を始めた。後に、先生が亡くなられたため、講師をやることになった。
講師を務めるため、しゃかりきになって見沼田圃に図鑑を持って行き、実物を見ながら勉強を始めた。
イヌタデやオオイヌノフグリの群生に感動して、写真を撮り続けている。
家業を引退してからは、生きがいになっている。
見沼田圃には約500種類の植物があり、その図鑑を作成中で、現在8冊にまとめている。

食べられる植物もたくさんあり、キキョウ科の釣り鐘人参は、ほうれんそうと似たような味で美味しい。
一般的に食べられるのは、ヨメナや、 春の七草のペンペン草である。
ペンペン草は、成長したものは苦いが、春の出だしのものは、菜っ葉の代用になって美味しい。
あとはヨモギやノビルである。

今では、見沼田圃に生えている草花は、ほとんど名前が言えるようになって、現地では、もっぱら写真の撮影に没頭している。
背景に雑草が写るとわかりづらいため、後ろの草を耕してから撮影することがよくある。
特にイネ科の植物は目立たないので、いまだに納得のいく写真が撮れていない。

昔は、見沼田圃でよく見かけたが、最近見なくなった植物がたくさんある。
秋の七草の一つのフジバカマは、日本全国的にも絶滅危惧種であり、10年以上前の造成工事の際にも、どこかにフジバカマを保存する方法はないか聞いてみたが、どうも真剣に取り合ってくれず、絶滅してしまった。
その他にも、メハジキやノコンギクは稀になってしまった。
ノコンギクは山野草に属するもので、涼しく人の来ない自然の多い所でないと育たない。
探してみたが、なかなか見つけられない。
その他に、ヌマトラノオやノジトラノオは女性が好きそうなかわいらしい花であるが、なかなか見つけられない。
逆に帰化植物のアレチウリやセイバモロコシなどが増えてしまっている。

秩父に薬用植物園があるが、埼玉県は植物園がない。
見沼田圃の絶滅危惧種を集めて植物園をやっても良いのではないかと思う。
絶滅寸前のものは、土地を決めて植えこんでもらえればと思う。

今後の見沼田圃は、農家が農産物を売って生活できて、今の見沼田圃の状態のままで続いて欲しい。
自然に無くなってしまうのは仕方が無いが、今のままを守ってほしいと思う。
大規模に残っているのは、加田屋地区くらいである。
狩野川台風で見沼田圃が沈んでから、開発が進んでいないのが救いである。
首都圏の近くでこんなに緑が残っているのは奇跡である。
人は緑があるとほっとして、慰められる人が多いから、残してほしい。

2010.11.29 横田氏ご自宅にて取材

プロフィール

横田栄造(よこたえいぞう)

1926年大宮市に生まれる。
写真集『見沼田園のお花畑』『見沼田園のお花畑Ⅱ』『見沼田園のお花畑Ⅲ』等出版。
見沼田圃で数多くの写真を撮影してきた実績を持つ。